毎日欠かさずにイチゴを食べ続けて 10年!マスターベリーさんに聞く深いイチゴのはなし

10 年間毎日イチゴを食べ続けている、イチゴの「極もの」がいると聞いて、可愛らしい女性を勝手に想像していた私。実際は、恰幅のいい男性。その名も、Master Berryさん。 いちごはかわいいもの、女性が好きなものという先入観にとらわれていましたが、ガッシリ男子をも虜にするいちごの魅力とは何なのか早速お話を伺いに
大田市場にやってきました。

今回の「極モノ」レポーターは小峯由梨子が担当いたします。
大田市場はとにかく広いです。 たくさんの野菜たちが段ボールで山積みになって点在しています。量が多いはずなのに、少なく見えてしまうという錯覚に陥ってしまいました。

くらうま(以下K):

ベリーさん、本日はお時間をいただきありがとうございます!
以前はイチゴの仲卸をされていて、この大田市場に勤務されていたそうですね。
ベリーさんとのご縁がなかったら、大田市場に来ることもなかったかもしれません。

早速、大きい大田市場の一角にある、イチゴの保管倉庫に案内していただきました。
入った途端にイチゴの甘い香りが漂ってきます。
ひんやりする倉庫の中で、たくさんのいちごたちが出荷を待っていました。

美味しいイチゴの見分け方

全部美味しそうに見えるのですが、その中でも美味しいイチゴの見分け方はあるのでしょうか?

ベリーさん(以下B):

葉っぱが枯れてなくて、ツヤがいいものが美味しいです。
たとえば、このカゴにあるイチゴと、箱に入っているイチゴではツヤが違います。ツヤがあるのは新しい証拠です。

K:

ツヤ?ツヤで鮮度がわかる?
―ぱっと見には全く区別がつかないのですが、ベリーさんは、それを瞬時に見分けます。

確かに、見比べてみると、少しくすんで見えますね。言われなければ気づきませんでした。注目してみると違いがわかるものですね。

B:

イチゴは、前日収穫して次の日の午前中に出荷します。日が当たると柔らかくなって出荷に耐えられなくなってしまいますからね。そのまま冷蔵して輸送するのですが、その対応の違いによって、みずみずしさが違うのですよ。

1 週間前の天気がイチゴの大きさと甘さに影響する!

B:

もっと通好みの話をすると、甘いイチゴを買いたい場合は、店頭に並ぶ前週1週間の天候を確認するといいです。くもりが続いているとイチゴが甘くなっています。

K:

なんと、天気にまで気をつけるのですか。
晴れていた方がおいしくなるイメージなのですが、曇り続きの方がなぜ甘くなるのですか。

B:

いちごは温度が上がると色づきやすくなります。炎天下だといちごは小さいままで
採らないと腐るだけです。 私は2L以上の大きなイチゴの方が美味しいと思います。

以前、皮(種がついてる赤い部分)をむいて、中の白い部分だけ食べてみたら、甘かったんです。

K:

?イチゴの皮をむくのですか?なかなかそこまでする人はいないですよね!
皮という感覚もありませんでした。

B:

これは私の持論ですが、1 つの苗が与える酸味は同じだと思うのです。酸味は皮の部分にあるので、体積の大きい方が皮の内側の甘い部分の割合が多くなる。だから大きなイチゴのほうが甘くて美味しいんだと思うんです。

K:

なるほど。小さいイチゴは皮の方を感じやすいから酸味が強くなるのですね。いちごが大きいと、中身の甘い部分の体積が大きくなり酸味が抑えられるのですね。

B:

小さいいちごは急激に赤くなっているので、酸味が強いです。そのため生クリームと相性がよくて、ケーキによく使われています。小さくて可愛いので、見栄えもいいですね。

K:

イチゴのサイズに着目したことはありませんでした。インスタ映えを狙うなら小さいいちご、味を求めるなら大きめのイチゴがいいということですね。
イチゴをどう楽しむかによってサイズを選ぶといいのですね。他にも何か楽しみ方はありますか?

産地で食べるイチゴは格別ですよ!

K:

品種にこだわりを持つとおもしろいですよ。
まずは目を鍛えるために、お店に行って、自分の目で見て、いいと思ったものを買って食べてみて下さい。美味しいかどうか見極めるんです。美味しかったものは、農協を調べたり、品種の掛け合わせを調べて親をみたりして、どんどん展開していくんです。フィードバックをしながら掘り下げていくと、自分との相性もわかってくるのでおもしろいですよ。

B:

あとは、産地で食べてみてほしいです。もぎたては旨さが違います。
だいたい一番美味しいのは、その土地で消費されてます。自分が住んでる場所まで運ばれるには時間がかかりますから、やはり近いところで採れたイチゴが美味しいです。

K:

やっぱり、その土地に行って食べるイチゴは美味しいのですね。

B:

全然違いますね。
輸送には時間がかかりますから、熟す前に出荷することが多いです。産地であれば、一番美味しい状態を味わうことができます。その土地の空気と一緒にその土地のいちごを食べることは農家さんとの関わりが強く感じられますよね。私の場合、美味しいと直接会いに行きます。

イチゴの出来はハチが決めている!!

B:

イチゴ農園に行って、まずよく見るのは、そこの農園で飛んでいるハチなんですよ。農園経営者に「いいハチが飛んでますね」と言うと、「こいつ、よくわかってるな」という風にみられるんです。
入った時の湿度でいい農園かはわかりますね。あとはアブが飛んでたり、カビの匂いがしたりするとダメですね。ハチにストレスを与えると飛ばなくなるので注意が必要です。

K:

ハチですか?ハチがどのように関係しているのでしょうか?

B:

イチゴ農園の周りにまるまる太ったハチがたくさんいると、その農園では丁寧に受粉ができていて、美味しいいちごができてる証拠なんです。受粉がちゃんとできていないと、変形したイチゴができたり、十分な成育ができないんです。ハチが元気な農家のいちごは格別ですし、そこで採れるはちみつもイチゴの香りがして特別美味しいですよ。
ご家庭でイチゴを育てるときにハチを使うのは難しいですよね。綿棒で花粉を取って、雄蕊にまんべんなく付くようにして、たくさん受粉できるようにして下さい。

K:

イチゴの出来にハチが関係してるとは知りませんでした!!!ハチが受粉をたくさんするかどうかにかかっているのですね。ハチの気持ちが、イチゴの味と形になるなんて面白いですね!

自分好みの品種を探そう!

B:

あとはイチゴの食べ比べがおススメです。同時に数種類を食べ比べたことないと思うので是非やってみて下さい。食感や香りなど、自分の好みを見つける事ができると思います。 私は輸入いちごであれば、品種を当てられます。品種の区別は香りでやるんですが、周期で親が強くでてきてしまうので、日本のいちごは品種の掛け合わせも多いため難しいです。

K:

利きいちごもできるんですね。
ベリーさんは色んな品種を深掘りしていき、たくさんの知識を蓄えてこられたのですね。多くのイチゴを食べてこられたベリーさんのおすすめのイチゴを教えて下さい。

B:

べにほっぺが香り、甘さのバランスがよくていいと思います。
ちなみに、私が好きなのはとちおとめです。小さい頃に父がよく買ってきてくれたことが影響しているんでしょうね。バランスもいいです。私の父は長崎出身で、ダナー、とよのか女峰、とちおとめなど色んな品種のいちごを食べさせてくれました。

K:

幼い頃から食べ比べをされてたんですね。育った土地が好みに影響を与えたりしてるのでしょうか。

B:

先ほどの話のように、産地や近い土地で採れるものが一番美味しいでしょうが、私は父との思い出がそのままおいしさとなって残ってるのかもしれません。食べ比べて自分の好みも発見しましたが、父と関わりあう物語の中で、イチゴを美味しいと感じた自分を大事にしているのかもしれません。

K:

子供の頃の味は残っているんですね。
お父様の影響で、色んな品種を食べ比べていたのが今のベースとなっているのですね。
子供の頃からいちごをたくさん食べてこられたベリーさんにお聞きしたいのですが、いちごの美味しさを保つ方法などはありますか?

イチゴの保存方法

K:

イチゴの美味しさを保つ方法などはありますか?

B:

もし、すぐに消費できない場合は、冷凍保存がおすすめです。ヘタを全部取って、半分に切ってから冷凍して下さい。切らずに冷凍すると、真ん中が凍るのが遅くなるため、均等にするためです。本来はすぐに食べるのが一番いいです。
もし、茎からとることがあったら、茎を残したほうがいいですね。茎の水分がしばらくいちごに供給されます。いちご狩りに行かれる場合は、枝から引きちぎると、イチゴの苗が痛んでしまいます。枝の間に指をそっと入れ、親指で枝を押すだけで、いちごはとれます。

K:

イチゴは、草のように引っこ抜いてはいけない!ということですね。今後イチゴ狩りに行くときは、ベリーさんの事を思い出します。
色々とお話を聞かせていただきありがとうございました。最後に、ベリーさんにとってイチゴとはなんでしょうか。

B:

自分にとって表現しやすいものです。育て感があるんです。農家から百貨店に出荷できると、とても嬉しいんです。実は、宝塚が好きなんですけど、若手からトップスターに育て上げるのと似てると思います。他のフルーツは農家さんが作り上げて完成品となっている感じがするのですが、イチゴにはまだトップスターに育て上げる余地があるんですよね。 イチゴは現在出回ってる品種が30種類位ありますが、今も品種が増えています。いちごは昔からあったのに、未だに進化し続けているんです。
進化し続けるイチゴの売り場の見せ方、ケーキの断面の見せ方とか、色んな場面でこれからのイチゴの魅力を作り上げていけるところがおもしろいのです。

K:

ベリーさん、取材どうもありがとうございました。また来シーズンに、くらうまでのトークイベントでご登壇頂けるのを楽しみにしております。
この取材を終えて、レポーターとして、絶対イチゴの食べ比べをやりたくなりました。同時に食べることでしかわからない自分の好みを発見して、食感や香りの違いを感じたい!なので、次回のシーズンにはくらうまにベリーさんをお招きして、いちごの食べ比べを企画します!みなさまご期待ください!!

今回のライター

小峯由梨子

1980年長崎生まれ。大学卒業後上京。ライター兼カメラマン。おもしろいことを体験しながら文章にしています。趣味は料理で、レシピをグラフィクレコードで描いてます。

極モノさんの格言
イチゴはスターの原石