店主のひとり言#01「くらうま しもきた」誕生の物語

開発前の下北沢駅

「くらうま しもきた」は、どういう経緯でオープンすることになったのか。そのことについてお話ししたいと思います。

私は、株式会社チームネットという、住まいづくりやまちづくりをプロデュースする会社の代表を務めていますが、その会社では7年前から下北沢駅の真ん前の商業ビルを建替える事業に関わっています。「くらうま しもきた」の構想は、その縁が始まりでした。

皆さんもご存知のとおり、駅前が再開発されて周囲のビルも新しくなっていくと、小ぎれいにはなるけど界隈性がなくなって、まちの面白みが半減してしまう、ということがよくありますよね。

下北も今急ピッチで駅前広場が整備されていますが、ヘタすると、これまで人間味溢れる感じが下北の魅力だったのに、それが失われてしまう恐れがあります。

そうならないように、我々が関与する商業ビルは何をどうすればいいのか。

私たちがビルオーナーのみなさんと出した答えが、下北にいかに集客するかと考えるのではなく、「下北に暮らすひとたちのことを一番に考える」ということでした。

まちの魅力ってそもそも誰がつくるものなのか。それは、そこに暮らしているひとたちだと考えたのです。そのひとたちが、自分たちのまちを自分たちの暮らしの一部として使いこなすことの繰り返し、イコールまちの魅力なんだと。下北に住むひとの暮らしのスタイルに憧れるから、外からひとが集まってくる。外から来たひとがそのスタイルに浸って、いつしか自分も下北の住人になって、こんどは自分が憧れられる側になる。そのスパイラルがまちを魅力的にし続けるのだと。

ということで、ビルオーナーのみなさんは、下北沢のまちを「消費を刺激する場」にするのではなく、「豊かな暮らしを生みだす場」として位置付け、ビルの建て替え計画を進めています。

そのビルの建替えはまだまだ道のりは長く、おそらくあと5年はかかるのですが、その猶予期間を使って実験的な取り組みをやろうと、ビルオーナーのおひとりと共同で出店したのがこのお店です。

そうした経緯から、お店の名前の「くらうま」は、「暮らしが生まれる」「暮らしが美味しい」という意味から名付けられました。

自分の暮らしを自分でつくりだそう。

そして、「消費」とは異なる手ごたえのある「暮らし」を生みだそう。

そうした下北沢のまちづくりに対する思いが「くらうま」の名前には込められています。