【レポート】ふみえ食堂×鳥羽

開催日
2019 06 29土曜日

下北沢 ⇔ 三重・鳥羽  都会の生活者と地方の生産者をつなぐ、 ディープでおいしい食事会を開催!

2019年6月29日(土)に料理家 金子文恵さんの 三重県鳥羽市がコラボした ”ふみえ食堂×鳥羽”の様子をご紹介します!


『くらうま』では都市の生活者に、地方の食材の魅力を伝え、地方の生産者と都市の生活者との幸せな関係を築いていくことを重要なミッションとして掲げています。さまざまな食体験を増やしていくことで、自分たち自身で食を選ぶことができる力を身につけ、日々の食卓をもっと豊かにクリエイティブにしていくお手伝いをしていきたいと思っています。

そうした想いから開催の運びとなった今回の企画。縁あって出会った鳥羽市の食材を入口に、みんなで暮らしを考えてみよう!をテーマにして、海藻をはじめとした鳥羽のスペシャルな食材を使った食事会を『くらうま』で開催。こうしたイベントによって、一方通行ではなく、都市の生活者の食生活を豊かにし、同時に地方の食材生産者を支援することを狙いとしています。


食のプロである料理家と知られざる地方の食材や人材との出会いによって、新たなストーリーが動き出す

そこで問題になるのは、どうやったら魅力ある食材と出会えるのか? 
食材に巡りあうときに一番重要なことは、その食材について精通している方々に出会うことで、より深く食材を知るきっかけになります。

例えば、海藻パラダイス・鳥羽から届けられる食材を使った料理を提案する、金子文恵さんは、舌のこえた食関係者の胃袋も虜にし、地域食材を素敵なコース料理に仕立てる 『くらうま』公認の料理家さん。お洒落で気負わず、体が喜ぶ料理づくりには定評があります。
そして、今回の食事会に先立ち、3月に開催された食の関係者を対象にした『くらうま』でのプレオープンイベント「鳥羽の海苔・海藻類の食べ比べの会」では、その溢れんばかりの海藻愛と膨大な知識で関係者を圧倒し、心をわしづかみにした海藻博士・岩尾豊紀さんが、再登場して参加者に海藻愛を語ります。
このように、生産地の食材をモノではなく、「人」を通して情報が行き来することで、新たなストーリーが動き出すのです。そうした出会いをプロデュースするのが、「くらうま しもきた」です。


鳥羽市には答志(とうし)島、神島、坂手島など有人離島が4つあり、波が静かな入り江や島影を利用した藻類、貝類、魚類の養殖もおこなわれています。特徴としては、内海の伊勢湾、複雑な潮流の離島域、外海など変化に富み、様々な漁法により多彩な魚介類が水揚げされるとのこと。
また真珠養殖発祥の地であることや、日本一海女さんが多く暮らすまちであることなど、知られざる鳥羽の情報が明かされました。鳥羽って、これまで、伊勢志摩ブランドの影に隠れていたけれど、じつはとても素晴らしい場所なのだと再発見。



満員御礼!鳥羽✕「ふみえ食堂」はじまります

「ふみえ食堂」は、“ONE table”=大きなテーブルをみんなで囲む、というONE TABLE STYLEがモットー。さて折しも会場は満員御礼!の大盛況。参加者は肩を寄せ合うようにテーブルを囲み、料理を待つ間にも話が弾みます。乾杯した後は、参加者全員が簡単な自己紹介をしてから食事会スタート。金子さんが鳥羽に赴いて得た経験と自身のセンス、想いが盛り込まれた、メニューはこちら!

1. しらすのシソベーゼ・黒のりの佃煮・わかめのタルタルの3種のブルスケッタ
鳥羽産の海産物を使って気軽な前菜、ブルスケッタを。しらすはバジルではなく鳥羽産の青ジソを使ったシソベーゼで和えて。鳥羽の海で育った風味豊かな黒のりを使った佃煮は、サワークリームとともに。わかめはたまねぎとビネガー、オリーブオイルを加えたさわやかなタルタル仕立てにして、それぞれパンにのせました。

2. アオリイカとアカモクサラダ
メイン食材のアオリイカは多彩な食感や味を楽しめるよう「生・ボイル・ソテー」と異なる方法で調理し、鳥羽産の野菜とともに盛り合わせたサラダに、ねばトロシャキっとした食感のアカモクを加えたドレッシングを添えました。アカモクは鳥羽で採れたてを湯通しして叩き冷凍したものを使用。ちょっと前まで邪魔者扱いだったこの海藻は、今では栄養価やアンチエイジング、代謝アップ、整腸効果などが期待され注目が集まっています。

3. セビーチェ
新鮮な魚介類を使った南米のマリネを、さっと茹でた鳥羽のホラ貝とトコブシで。ホラ貝はトコブシよりも歯ごたえと甘みが強く、クセにある味わい。海女さんがアワビ漁の合間にとるもので、ファンは多いものの地元でもなかなか手に入らない貴重なものです。一緒にマリネしたミニトマト「海女とまちゃん」は、皮が薄くとても甘くておいしい!海産物の陰に隠れた名品です。

4. たことじゃがいものガリシア風サラダ
たことじゃがいもをにんにくマヨネーズで和えたスペインのガリシア地方のサラダ。伊勢湾の海流や黒潮が混ざり合う豊かな鳥羽の海で育ったマダコは旨みが強くておいしい!同じく鳥羽で育ったじゃがいもと合わせることで、なじみよくまあるい仕上がりに。

5. わかめの茶碗蒸し
わかめがたっぷり入った、ふるふる茶碗蒸し。鳥羽産のわかめは、海の塩気をそのまま生かした仕上げが特徴です。シンプルだけれど、ふるふるの卵とコリコリのわかめが好相性。

6. サザエとあらめのピラフ
鳥羽市長も大絶賛!の洋風炊き込みごはん。サザエの身と甘辛く煮たあらめをたっぷり加えて炊き込んだ旨みたっぷりの絶品ピラフに、サザエの肝をバターとしょうゆで炒めた肝ソースを添えました。肝ソースは、それだけでも酒の肴になりそうな、クセになるおいしさ

7. フリットミスト& ゼッポリーネ
イタリア版の天ぷら・フリットを鳥羽の魚介で。カリふわの衣で包まれたカサゴ・アオリイカ・ウタセエビは、食欲をそそる香り。もちろんそれぞれの食感もご馳走のうちです。ピザ生地を揚げたゼッポリーネには、鳥羽の黒のりを加えて。もちもち食感と黒のりの旨みは虜になるおいしさ。

8. きなこと黒みつの寒天
海藻博士・岩尾さん(鳥羽水産研究所)特製のトコロテン。鳥羽産のテングサ100%で作ったトコロテンは、しっかりとした食感とテングサが香るのが特徴です。その辺のトコロテンとは一線を画す仕上がりです。今回は、地元で食べられている「きな粉+黒みつ」の鳥羽スタイルで。

◆メニュー番外編
1.鳥羽マルシェの隠れた名品!「八朔ジャム」
鳥羽マルシェ(鳥羽産の農水産物の産直市場)で売られている地元の農家さん手作りの「八朔ジャム」は、隠れた名品。柑橘系は皮を使うマーマーレードが一般的ですが、この「八朔ジャム」は皮を使わず果肉がたっぷり入ったもの。ジューシーで他にはないおいしさなのです。そのままが一番美味しさが伝わるということで最後にテイスティングスタイルで楽しんでいただきました。

2.鳥羽の日常食「くき芋」
食事の合間に登場したのは、地元では日常的に食べられているさつま芋の茎「くき芋」の浅漬けとぬか漬け。鳥羽市職員の方が自ら作ってきてくださったこの漬物の食べ方を聞きながら、参加者のみなさんは「えー?芋の茎!?」「食べたことない!」「薄皮をむくの??」などなど興味津々。口に運ぶと…「カリカリしておいしい!」「これ、クセになる!」と盛り上がりました。このくき芋を食べたいからさつま芋を育てるというくらい、地元の方の好物なのだそう。参加者のみなさんは鳥羽の日常の食文化の一端に触れ、親近感や興味がわいたようです。


◆参加者の声

  • 楽しく、いろんな方とお話ができたので有意義に過ごすことができました。いい意味でアレッ?と思ったのは、最後の寒天(黒みつときなこ添え)! すごくテングサの香りを感じるし、水の加減=固さもすごくよくて、とてもよかったです(男性)
  • 普段、料理の仕事をしているのですが、海藻だといつも地味なイメージがあり、なかなか主役にできないのですが、こんな使い方ができるんだ、と勉強させていただきました。ありがとうございました(女性)。
  • 私は普段、標高700メートルくらいの山に住んでいるので、海のものはやっぱりおいしいなあと思いました。またとても体にいいなと感じました。普段から食べないとだめですね。また地元(鳥羽)へ行って食べるとまた違うんだろうなと。ぜひまた(鳥羽に)行ってみたいなと思います。その時はぜひまたよろしくお願いします(男性)。
  • 今日はごちそうさまでした。楽しい時間をありがとうございます。この年になると、食べたことのないものってなかなか東京で生活しているとないのですけれども、一晩でこれだけ知らないもの、初めて聞くもの、初めて口にするものを頂けてとても楽しかったです(女性)。
  • こういう会やレストランであると、レシピがあったり名前があったりすると思うのですが、今日の料理も特別に意識するのではなく、名前のない普段のお惣菜という雰囲気を感じられて、それを名前のないまま普段使いにかえられるのかなと。普通にアカモクの〇〇などということで伝わると、もっと裾野がひろがっていくのではないかと感じました(男性)。
  • 昨日、東京のとある居酒屋で刺身のつまに海藻があって、残されていたのをばくばく食べていました。けれど、昨日は捨てられそうになっていた海藻が、今日は下北沢のこの場でスポットライトを浴びて、皆さんにおいしいと言っていただき、食べていただいているのをみて、涙が出てきました(笑)。これからもまた鳥羽の海藻をよろしくお願いいたします(鳥羽市関係者)。

◆ふみえ食堂店主  金子文恵さん
私も北海道出身なので、普段、海藻といえば、昆布やわかめ、ひじきを使ったりすることが多いのですが、今回、鳥羽のいろいろな海藻と出会えたこと、そして日本は縦に長いこともあり、各地の港で獲れる海産物は、それぞれまったく違うということもすごく面白いことだなと思っています。
同じイカでも、4月に北海道の石狩の食材をテーマにして食事会をしたときとは大きさも違えば、厚みも違うし、そういうことがとても面白いし、そうした多様性が豊かなことだなと感じながら、今回のお料理をつくらせていただきました。今回は鳥羽で食べられている作り方とは少し違うアレンジを加えた食べ方で召し上がっていただこうと思ったので、あえて、少し洋風なアレンジをしているんですが、鳥羽の方が普段食べていらっしゃる食材を皆さんに召し上がっていただけたことは、とても有意義なことだなと思っています。
鳥羽との取り組みは、今後も続けていけたらいいなと思っています。鳥羽の食材も四季折々、とれるものがまったく違うので、また皆さんに召し上がっていただけたらいいなと思っております。

小清水 克典 さん (しもきた商店街振興組合 副理事長)
いろいろなストーリーを持った料理が味わえてよかったです。しもきた商店街でも気仙エリアや宮崎県と一緒にいろんなイベントもやっているので、このような地方と関わるイベントを街ぐるみでやっていけたらと思います。

甲斐 徹郎 さん (くらうま代表)
皆さんにおっしゃっていただいた通りで、今日だけではなくて、日常の中に取り込んでいく人たちが、この中で増えていって、鳥羽ってこういうとこだよね、ってわかっていくことが、おそらく一番幸せな生産者と都市生活者との出会い方であろうと思っています。そうした出会い方を今後も増やしていきたいと思っております。

中村 欣一郎さん(鳥羽市長)より
皆さん、今日はありがとうございました。これまで鳥羽市は、ビッグサイトや八重洲などで、鳥羽の商材をたくさん売ることばかり考えておりました。大都会や大きなイベント会場には、確かに人はたくさんやって来ます。けれども、多くの人がその場限りの一過性ものであり、その先へ継続したつながりをつくっていくのは非常に難しいという現実につきあたりました。
一方、下北沢という場所は、東京でも人口が最も多い行政区である世田谷区にあり、そこで生活をしている人たちが、まちに深く関わっていると聞いています。大都会で不特定多数の人にアピールをするよりも、実際に生活をしている場所で広報活動を行うことが、数は少ないかもしれませんが、確実に根づいていくのではないと期待しています。
今日はこの場で、こうやって地味な食材がハレの存在になるのは、私も本当にうれしいですし、食材そのものも喜んでいることだと思います。今回、ご紹介できた鳥羽の食材は1割以下でしょうか。四季や時期に応じてまたいろいろ食材がありますので、小出しにしながら細長く続けていける関係を、また皆さんと持てればと思っております。


今回のふみえ食堂で、それまで知らなかった三重県鳥羽市の魅力を知ることができました。
くらうまでは今後も同様のイベントを考案中です!
皆様のお越しをお待ちしています。

ふみえ食堂店主 金子文恵

目にも舌にもおいしい料理をモットーに、食をデザインする料理家。文化服装学院を卒業後、ファッションデザイナーとして活躍しながら友人にふるまった料理が評判になり、料理家へ転身。デザインセンスを生かしつつ地に足のついたおいしい料理のレシピを主宰する料理教室や、雑誌・Web、企業のレシピ開発などで紹介するなど幅広く活躍。その経験から生まれた料理が『ニュー スタイル レシピ』(主婦と生活社)として出版。さらに6月には新刊『なにしろ、親のごはんが気になるもので』(家の光協会) が発売。たちまち重版など話題を呼ぶ。

海藻博士 岩尾豊紀

鳥羽市水産研究所。海藻博士。わかめなど海藻や牡蠣などの貝類の研究者。研究者として鳥羽市における海藻食文化と新しい海藻類の生産技術に力を注ぐ。また新しい視点で地場産業を支え伝えていくミッションを胸に現場との共創を続けている。“ド変態”と呼ばれるほどに、海藻への愛はどこまでも熱く深く!その情熱がまわりを巻き込み新たな流れをつくっていく。料理も趣味のひとつ。